2006年4月


さて、何のかんの言っても自然には逆らえず、遂に俺も30歳になっちまった訳ですよ。

そんで、30にもなったことだしってんで、昔をちょっと振り返ってみようと思い立ち、こんなもんを引っ張り出してみたですよ。


見るからに重そうなフライトケースに入っている物。
それは...


YAMAHAのV50なるFM音源シンセサイザー。
音作り自由自在のFM音源に加え、8トラックのシーケンサも装備。その上フロッピーディスクドライブも付いてるので作成したデータの保存も完璧!ってな代物でしてな。
リアル高坊の頃にはそりゃもう寝食どころか中間期末すら忘れて赤点まみれになりながらも遊び倒した思い出深き逸品です。


んで、そのリアル高坊の頃に作ったシーケンスデータだの音色データだのを引っ張り出してきて、語り尽くせぬ青春の日々を振り返ってみようかなと思い立ったわけですが....



まあお約束のようにFDDが死んでた訳ですよ。
予想通り。


ちょっと昔のシンセやサンプラー、あるいは2DD世代のパソコンを持っている人だとピンと来るかも知れませんが、FDDの駆動ゴムベルトが経年劣化で延びたり切れたり溶けたりして、モーターの回転パワーを上手く伝えられない状態になっているって状態です。



このままフタを閉じてしまい込むのは流石に可哀想なので、いっちょ修理してみることにしました。


題して。


青春サルベージ!
愛のゴム交換


書いてて何となく恥ずかしいがまあいいや、早速取りかかろう。



本体をひっくり返し、ボトムパネルを外します。
ネジ止めされているだけなので、ネジを取ればさっくり開きます。


問題のFDDがこれ。
さっさと引っぺがしてゴム交換したいところですが、このフラットケーブルを外さないといけません。FDD側はケーブルが圧着されていますが、メイン基板側はコネクタなので、メイン基板をひっくり返してコネクタから抜きます。


こんな感じ。


メイン基板全景。
普段は見ることができないので、この機会にじっくり拝んでおきましょう。


オールドシンセでFDDと並ぶトラブルの種が、バックアップバッテリー切れ。
こいつはDX7II等と同じくCR2032の基板実装タイプが乗っていますので、干上がったら秋葉原のパーツ屋で同じモノを買ってきて乗っけ変えてもいいですし、もっとデカいリチウム電池を買ってきて20年ぐらいバッテリー切れがおきないようにしちゃうのも良いでしょう。
極論言えば、3Vが供給できれば良いので単1電池2本でも構わないわけです。
が、乾電池は液漏れが発生するのでやっぱりリチウム電池を買ってきてくっつけてあげるのが良いでしょうね。


見るからにアナログ回路部分な箇所。


オペアンプはRC4558DVとNJM353Dが使用されていました。
飽き足らなくなったら、こいつらをより良い物に載せ替えるのもアリかもしれませんね?



メイン基板の観察はこのへんにしておいて、FDDユニットの取り外しです。
一見、FDDを固定しているネジを外し、手前(ピッチベンドホイール側)に引っ張り出せば取れるんじゃね?と思えますが、ところがどっこい、最後の最後で「何か」に引っかかってFDDが外れません。

ここでかんしゃくを起こして力任せに引っ張るとロクな事が起きないのはこれまでの人生経験で十分身にしみて分かっているので、落ち着いて別解を探ることにします。


FDDユニット周辺を観察してみると、FDDユニットやピッチベンドホイール等が収まっている赤茶色の部分が、本体メインシャーシ部分から分離するっぽいことが判明。
それっぽいネジを外していきますが、見える範囲のネジを外していっても、どうしても外れません。
微妙にカタカタと動くのですが、どうもある1点が支点になっているようです。

その支点部分を注意深く見てみると...

こんなところに最後の1本が!
ここを緩めるためには、鍵盤を固定しているネジ(確か5〜6本ぐらい)を外し、鍵盤をすこしズラして浮かせた状態にしないと、ドライバーが入っていきません。
(上の写真は鍵盤固定ネジを外し、鍵盤をずらした状態)

全てのネジが外れると、このように分離します。


あとは、FDDを固定しているネジを外し、悠々とFDDを引っ張り出せばOK。


入っていたFDDはミツミのD357Bという型番のものでした。
また、この写真を見ても分かるとおり、モーター部分が少し出っ張っていますね、これが、手前側に引きずり出そうとした際に引っかかる「何か」です。


FDD裏面。
見事にゴムベルトが切れてどっか行ってます。


手持ちのストックパーツにあった、FDD用平ベルトが使えないかな..?
ちなみにこれ、千石電商で「平ベルト ι186×0.4×2.8mm FDD用」として売られている物。これが使えれば即修理完了でハッピーなんですが...


ぜーんぜん、長さが足りましぇん....
そこで今度は取り外したFDDを持っていざ秋葉原!


現物合わせの結果、千石電商で売ってる物の中では「角ベルト φ80×1.2×1.2mm」が、サイズ・張力共に最も良さそうでしたので2本購入。


張ってみました。うん、よさげ!
ただし難点があって...


やはりゴムの幅が足りないせいか、モーター軸側のゴム掛け位置が段々と下に下がって行き、しまいにゃ軸受けの隙間に入るか入らないかの所で収まってしまいます。
ちょっと隙間が広がったら途端に破綻しそうな感じ...


幅が足りなきゃ何本か使えばいいんじゃね?とばかりに、2本使ってみました。
すると、1本は下側に、もう1本は上側に行き、あら、意外とよさげじゃない。
これなら片方切れても大丈夫だし、これでもいいんじゃない?



しかしながらやはり不安なのも事実。
より良いベルトを求めて秋葉原のラジオデパートやラジオセンターを歩き回ったところ...


ラジオセンター2Fの吉田ラジオさんで遂に発見!
しかも2本で150円!安!


掛かり具合も問題なし!
すこしベルト径が小さいのか、若干張力は高めなものの、問題ないレベル。
素晴らしい!これであと10年は戦えるね!




今回使用したベルトは、折径約11.5cmで幅が3mmのものでした。
折径 = 円周/2 なので、そっから逆算すると、直径は約7.3cm。なるほど、確かにすこし小さい。
直径8cm程度がジャストフィットのようなので、探す際には折径12.5cm程度のベルトを探すと丁度良いでしょう。(直径8cm x 3.14 / 2 = 12.56cm)


なお、今回吉田ラジオさんで購入したベルトは、「直径8cmのゴムベルトあります?」って聞いたら「んー、この中に無いかなー」と、多種多様なサイズのゴムベルトがひとまとめに束ねられた束を渡されて、店先で現物合わせの結果選定されたベルトです。従って、まだ全く同じ物が入手できる保証はありません。悪しからず...(でもまあ見た感じ同一サイズの物はあと10本近く束の中にありそうでしたが)


また、先に紹介した千石の角ベルトも、ベルトガイドを作る等して、ベルトがモーター側軸受けの下側に潜り込んでしまわないようにしてしまえば十分使えます。割り箸を削って作るのが手っ取り早いかな?
径や張力的にはあのサイズがベストだと個人的には思いますし、なんと言っても、入手の容易さは捨てがたいです。




それから、全くお勧めはしませんが、どうしても緊急にFDDベルトが必要な場合は



こいつが使えます(笑)


オーバンドの#270。ってか、輪ゴム。
折径は少し短いですが、張力が弱いのでこの程度でも良いでしょう。
また、幅が6mmと倍近いので、カッターなどでシェイプさせてあげる必要があります。



いわゆる「輪ゴム」は、もう本当に短寿命なので、「明日がライブだって時にベルト切れ!」なんて超緊急時以外の利用は避けるようにしましょう。
驚くほど短い間に、延びたり切れたり溶けたりします。





あとは、元通りにFDDを組み付けて、いざ動作確認!
試しにいくつかデータをロードして、シーケンスデータを再生!
うおおおおおおおお超懐かしいいいいいいいいい!あの当時の友達衆、みんな元気かなぁ!





調子に乗って、昔死ぬほど練習した曲を再度弾いてみましたらば。。。。




指が...


指が回らない...




「身体が付いていかない」って、こういう事なのかな.....

頑張れ俺。



追記:2007/11/11

    親切な方から教えて頂きました。
    っていうか今になって思えば、その時に気付よ俺と思いますが....
    上で紹介しているゴムベルトの付け替え方法には、1点強烈な間違いがあります。


    これが上の手順でベルト交換した状態。
    何が間違っているかというと、ゴムベルトの張られ方と、モーターとプーリーとの間にある黒いプラスチックの部品、これに注目。


    その黒い部品を外します。
    プラスネジ1本で止まっているだけなので簡単に外れます。


    それを裏返すと....おや、何か溝のような物が...


    そう、ゴムベルトは、この溝を通す必要があるのです!


    これが正しい状態です!



    プーリー側から見た図。

    モーター側から見た図。


      (´Д`)ヾ
       ∨ )
        ((
      ドウモスミマセン




    お詫びついでに、というわけでもありませんが、せっかく開けたのでついでにバックアップバッテリーの交換を行いました。


    正規の電圧3Vに対し、なんと0.12Vしかありません。
    交換決定です。
    てか、よくバッテリーアラーム出なかったな...


    交換対象となるのはこれ。CR2026の基板実装タイプ。
    これと同じ物が入手できれば、そのまんま交換すればOKです。

    が、手持ちの部品箱の中にはあいにく在庫なし...


    その代わり、こんなブツがありました。
    マクセルのバックアップ用リチウムバッテリー、ER6M。
    直径19mm、長さ47mm、電圧3.6Vという代物です。

    買ったのは、いつだったかなぁ...だいぶ前です。
    社会人になりたての頃か、ヘタすりゃ学生の頃?

    電池表面に "98-06" って書いてありますが、これが製造年月なのか使用期限なのか不明ですが、100円で叩き売られていたということは、購入時期と金額を考えると、恐らく使用期限なんでしょう。

    さすがに使えるか不安だったので、念のため開放電圧を測ってみましたら、きっちり3.6V出てました。凄い。
    とはいえ流石に電池の性能的には劣化していると思います。
    しかし大電流を流す訳でも無く、バックアップ用の電源なので、まあ、大丈夫でしょう。


    さすがにサイズが違うってレベルではないので、電池にリード線をハンダ付けして、そのリード線を基板へハンダ付けします。


    こんな感じですね。
    白のリード線がプラス側です。
    基板実装タイプのCR2032を購入して付け替える方は、この写真をタブの位置の参考にしてください。
    同じCR2032の基板実装タイプでも、メーカーや型番によってタブの位置が異なりますので。
    2006年5月20日の記事の後半で使用したCR2032のようなタブの出方だとジャストフィットだと思われます)


    さて、こいつをどこへ固定するかですが、周辺を見回していたら、丁度良いポジションがありました。

    本体内部を走るケーブル類を束ねるのにクランプが数カ所あるのですが、そこにこの電池がジャストフィットです。


    こんな感じ。


    拡大図。
    クランプのサイズも、ラッキーな事に超ジャストサイズでした。
    とはいえ、移動時の衝撃などで左右に動いて外れるといけないので、電池にタイラップを回し、かつ、そのタイラップを接着剤で電池に固定しました。
    こうしておけば、電池が左右に動いたとしてもタイラップの部分で引っかるので完全にクランプから抜け落ちることはありません。


    もともとクランプに収まっていたケーブルが心配ですが、それほど本数としては多くなかったので、クランプから外した状態にしておきました。




    あとはフタを閉め、電源を入れ、デモデータをロードさせてメモリの内容を初期化します。


    その後電源のOFF/ONを行い、メモリの内容が保持されていれば作業は完了です。


    これであと10年は電池交換する必要は無いでしょう!
    その頃は俺は40過ぎか...




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