さていよいよ最終回となる大将編ですが、ラスボスにふさわしい機器はコチラ。
富士通 NetShelter/FW(ネットシェルター・ファイアーウォール)
誰も知らねーだろこんな製品(笑)。
実際、秋葉原の某ジャンク屋で発見した際にも、店の人もどう扱っていいか分からなかったせいか、かなりの捨て値な値段が付いていました。確かタバコ1カートンよりも安かった記憶が。
さてこの製品、登場は2000年と、若干ビンテージの域に入りつつありますが、なかなか弄り甲斐のある製品です。
どう弄り甲斐があるかというと、まずはフロントパネルを開けると...
当たり前のように存在するCD-ROMドライブとCFスロット。
この手のアプライアンス製品でCD-ROMドライブだのCFカードスロットだのが用意されている機器は、だいたい中身はPC-AT互換機でOSはLinuxかBSD系のOSが動いているものと相場が決まっています。
そんな状況でこんなもん見せられたら、とりあえずCFカード突っ込んでみるよな?
また、ブータブルなCD-ROMを突っ込んで、ブートさせてみようとするよな?
ちなみに、この製品を真っ当に使おうとしようとした場合でも、製品のセットアップ自体はとても簡単。
いわゆるご家庭のブロードバンドルータと同じように、webブラウザからプチプチっとやっていくだけでセットアップができてしまいます。
取扱説明書が無い状態で入手しましたが、普通にNATルータとして設定する分には、それほど困りはしませんでした(ちょっとは困ったよ)。
また、装置の状態がLCDパネルに表示される上に、フロントパネル上にあるスイッチから装置の停止やファクトリーリセットまでできてしまえるので、普通に、真っ当に使用する分にもそこそこ使い勝手は悪くはないと思います。
さてこの製品そのもののについては、正直なところ特筆すべきものはありませんのでこれ以上の説明はしません。
では何故こいつをここで取り上げるかですが....それは見ていけば分かります。
よし、分解だ!
分解そのものは至って簡単。
本体背面のネジを外して、上半分を被っているフタを取れば簡単に内部へアクセスできます。
トップビュー。
さすがに基板の作りはキレイですし乗ってるコンデンサも良い物乗ってます。
メモリは、純正状態ではPC66/64MB/ECC付きのDIMMが1枚乗っていました。
また、CPUはSocket370とおぼしきブツが乗っています。
ははーん、製品の登場時期と、この三洋ファンから察するにPPGAなCeleronか何かが乗ってるな?
なお、残念なことに、これ見よがしなジャンパは基板上にはありませんでした。残念。
まーCeleronは倍率固定なので、弄るとしても上位CPUに差し替えてみるか、余ってるメモリスロットにメモリを増設してみるかぐらいですね。
さらに分解してみることにしましょう。
PCIライザーカード部分。
このライザーカード上にもNICが1個付いてます。
NICのチップは、オンボード・ライザー上ともにIntelのGD82559でした。
インテル製NICチップの中でも、結構いいやつです。
余談ですが、バックアップ用のボタン電池は、よく見る定番のCR2032ではなくてCR2450が乗ってました。
CR2032=直径20mmの厚さ3.2mmですが、CR2450はその名の通り直径24mmの厚さ5mmです。
でかいぞでかいぞ!2032よりも一回りデカくてブ厚いです。
こりゃー電池切れの心配は無さそうでいいですね。
見えないところですが、物作りの拘りを感じます。
さらに分解していきましょう。
ざっと見た感じだと、中身は2階建て構造になっている様子。
2階部分の底面がメイン基板となっており、そこにCPUやメモリ、NIC等が乗っていて、1階部分には電源ユニットやHDDが乗っているようです。
フロントパネルを外した状態。
流石にエアフローを考慮してか、前面がパンチングパネルになっています。
また、この右側の部分は取り外しが可能で、ここから内蔵HDDへアクセスすることができます。
流石に国産の、しかも決して安くはない製品(加えて、基本的にはプロフェッショナルユース)だけあって、作りはしっかりしています。
一通り堪能したところで再度組み立てますが、フタを閉める前に見逃すわけにはいかないのは、
奥の方にひっそりと控えているPCIスロット。
コイツ自体はアプライアンス製品なのでVGA出力やキーボード端子などはありませんが、PCIスロットさえあれば何とでもなる!
ということで、手持ちのPCIビデオカードをブッ刺してみました。
本体背面には、きちんとPCIスロット用の口もあり、何ら問題なく装着することができます。
おお、なんだ普通じゃん。これはこのままでもいいかも?
あ、書き忘れてましたが、こいつは標準で3つのLANコネクタが装備されています。
従って、External/Internal/DMZといった標準的な構成を本体のみで構築することが可能となっています。
また、お気づきの方も多いと思いますが、ファンの左側には、Dサブ9ピンの「これ絶対シリアルポートだよね!」的なコネクタもあります。
さてビデオカードが装着できたところで、モニタを接続していざ電源オン!
これはwwwwwwww
Celeron366MHzwwwwwwww
どう見てもパソコンです。
本当にありがとうございました。
しかし、これはある程度予想できていたこと。
驚くのはまだ早い。
本当に驚くのはこれから。
しばらく経つとOSが起動してきますが....
ん?LILOとか書いてありますよ?
これはもしや....
RedHatキタコレwwwwwwww
いいの?いいの?ねえこれっていいの?
そして挙げ句の果てには...
ログインプロンプトwwwwwwww
なんという親切設計・・・
ブート画面を見ただけでワクワクしてしまった
この機種は間違いなく神機 |
|
うわあああああああああああ....
キーボード端子欲っしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜..
そして超ログインしてみてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ん?待てよ?
そういや背面にシリアルポートあったよな...
この流れから行くと、もしかして????
例のコネクタへシリアルクロスケーブルを接続!
そしてTera Term Pro 起動!
すると目に飛び込んできた光景は...
ちょwwwwwwおまwwwwwww シリアルコンソールまでwwwwwwww
どんだけ親切設計なんだ富士通wwwwww
やべえちょっと見直したwwwwwwwwww株買うwwwwww
とはいえ、ログインできないことには話にならない。
まずは定番の定番、駄目元でrootユーザでのログインを試みてみることに....
まてwwwwwww
ていうか普通に使えるぞオイwwwwwwwwwww
やべえテンション上がってきたwwwwwwwwwwwwww
落ち着け俺、素数を数えろwwwwww
,, -──- 、._
.-"´ \.
:/ _ノ ヽ、_ ヽ.:
:/ o゚((●)) ((●))゚oヽ:
:| (__人__) |:
:l ) ( l:
:` 、 `ー' /:
:, -‐ (_). /
:l_j_j_j と)丶─‐┬.''´
:ヽ :i |:
:/ :⊂ノ|:
暫くゴソゴソと中を嗅ぎ回ってみると、どうやらこいつはカスタムカーネルなRedHatLinux7.0の上にいくつかの特殊ドライバやwebベースの設定画面を乗っけた状態で動いている模様。
特殊ドライバってので、恐らくフロントパネル面のLCDやスイッチを制御するんでしょうな。
ということは、この特殊ドライバ類をゴッソリとtarか何かで固めておけば、このNetShelter上に最新のCentOSか何かを乗っけてもフロントパネルによる制御も有効になる?
それか、現状の構成はそのままにしておいて、RedHatLinux 7.0用のRPMをドカドカと乗っけていって、製品本来の目的であるFireWallアプライアンスではなく、例えばwebサーバやメールサーバなんかに仕立て上げるというのも有りかも知れませんね。
このように、これまで登場してきたアプライアンス機器の中ではブッチ切りで遊べる機種であるのは間違いなしです。
ていうかLinux乗ってるパソコンだしな。
ですがまあここは素直にこんなイカレた製品を世に送り出した富士通へ敬意を表すべきでしょう。
何にせよ、このサイズでこの機能、そしてこれだけ楽しめるものを爆安で入手できるとは、ハードウェアハッカーにとっては、とても幸せな世の中になったモノです。
小型軽量コンパクトなサーバ機器を求めている御方には、この機種はなかなかお勧めできます。
難点としては、超入手困難なことでしょうか。
ヤフオクやアキバで見かけたら即買いレベルの一品です。
さてお待ちかね?の、netperfによるベンチマークです。
これまで同様、FireWall配下からnetperfサーバへnatして出て行った際のスループットです。
結果はこちら。
D:\> netperf -H 162.168.251.42
TCP STREAM TEST to 162.168.251.42
Recv Send Send
Socket Socket Message Elapsed
Size Size Size Time Throughput
bytes bytes bytes secs. 10^6bits/sec
65536 8192 8192 10.00 88.91
D:\> netperf -H 162.168.251.42
TCP STREAM TEST to 162.168.251.42
Recv Send Send
Socket Socket Message Elapsed
Size Size Size Time Throughput
bytes bytes bytes secs. 10^6bits/sec
65536 8192 8192 10.00 86.24
D:\> netperf -H 162.168.251.42
TCP STREAM TEST to 162.168.251.42
Recv Send Send
Socket Socket Message Elapsed
Size Size Size Time Throughput
bytes bytes bytes secs. 10^6bits/sec
65536 8192 8192 10.00 89.14
D:\> netperf -H 162.168.251.42
TCP STREAM TEST to 162.168.251.42
Recv Send Send
Socket Socket Message Elapsed
Size Size Size Time Throughput
bytes bytes bytes secs. 10^6bits/sec
65536 8192 8192 10.00 85.46
送信側:Thinkpad X31-PHJ WindowsXP SP2 PentiumM-1.6GHz+オンボード1000BASE-T
受信側:FreeBSD4.11 Celeron1.4GHz+Intel i82559ER
今回ちょっと送信側のノートパソコンをこれまでのLet'sNote CF-T1からThinkpadX31へ変えてみたので送信側のパワーアップってのもあると思いますが、それでもコンスタントに90Mbps弱の転送レートを叩き出してくれました。
通常使用には十分すぎる値じゃないですかね。
そうそう、netperfでガンガンに負荷掛けている最中のCPU負荷はどんなもんか気になったので、NetShelter上でtopを実行してみました(笑)
あー、idleが97.8%なんで、ぜーんぜん余裕ですね。
というかtop自体が1.1%食ってる程度なんで、もう無負荷に近い感じです。
良きかな良きかな。ってか、本当か?これ。
さて、このように無限の可能性を秘めたこの一品。
1つのPCIスロットをどのように使うか、また、そもそも製品自体をどのように使うかは貴方次第です。
LANが3つもあるので、それを活かしてやっぱりFireWallやルータとして使うもよし、純正状態のOSをハックしまくるのも良し。HDDをデカいのに入れ替えてファイルサーバとして使うも良し(BigDrive対応してるか怪しいけど...)、webサーバとしてもいいですね。
拡張性を考えると、USBカードを刺していろんなデバイスをズラズラと繋げるのもアリですね。
とにかく、夢は膨らむとても楽しい機材です。
ということで、私も早速こいつを別の用途に使ってみることにしました。
と言っても、完全に別の用途ではありませんが...
次回に続く!(予想外!)
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