2004年6月


夏目前。これからまたあの暑くジメジメした季節が始まります。



そんな中、ふと以下の記事が目にとまりました。


くすぶる台湾製電解コンデンサの不良問題

 台湾の電解コンデンサ・メーカーが製造した一部の製品が,高い確率で破裂・液漏れといった不良を起こすという指摘が機器メーカーの間で巻き起こっている。台湾の電解液メーカーが同地域のコンデンサ・メーカーに供給した電解液の組成に欠陥があり,これが製品寿命の著しい短縮を招いているというものだ。材料の不具合が発端という点で,半導体封止材の問題が機器の回収につながった,富士通のHDD不具合問題に構造が似ている。

 電解コンデンサの問題は2002年夏ころに発覚し,一部で議論が始まっていたもよう。国内の機器メーカーの中には,原因が特定できるまで台湾製の電解コンデンサの採用を控えるように社内通達を出していたところもある。この結果,問題となる電解液メーカーから供給を受けていない日本の電解コンデンサ・メーカーに注文が殺到した。「いまだに受注が多い状況が続いている」(国内の電解コンデンサ・メーカー)。

(日経NEオンラインより)


因みにこれは2002年12月の記事。
こんな事があったのね。全然知らなかった。


...と、その時は「ふーん、今頃は安物買ったヴァカが泣き見てる頃だろうなー」と流しちゃったのですが、数日後2chを見ていると...



【膨張】電解コンデンサの大量死 10μF目【液漏】




なるスレッドを発見!しかも場所は自作PC板
読み進めていくと、マザーボード上に乗っかっている電解コンデンサがこの被害をモロに受けている模様。


問題の電解コンデンサ生産地は台湾
マザーボードの一大生産地も台湾


考えたくはないけど、がっちり符合する...



そのスレッド曰く

マザーボードを主とした製品で低ESR電解コンデンサが通常の運用をしているにもかかわらず、普通考えられる寿命より遥かに短い時間で膨張・液漏れといった不良を起こす問題が起きてます。
この問題についての情報交換と注意呼びかけのためのスレです。

詳しいことは以下のまとめサイトをご覧ください。
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley/6445/condenser/

不安定になったらコンデンサの液漏れや膨張が無いか?目視する癖をつけましょう。
騙しながら使い壊れた場合にはコンデンサだけでなく周辺部品が壊れたり 他のパーツへの破損にも繋がりますので使用を直ちに中止しましょう。

・保証期間内であればゴルアァ!で修理に出しましょう。自分で修理をやれば保証は無効です。
・保証切れであれば買い換えや良質なコンデンサへの交換をお勧めします。

尚、交換用コンデンサは用途に合ったものを選ぶようにしましょう。
特にマザーボードやビデオカードでは高スペック(低ESR値、高許容リプル値)な物が必要です。





むう!危険!
ていうか俺が今使っているマザーボードはモロこの危険期間中に生産されたブツ!





早速確認。


GIGABYTEのGA-6OXTというSocket370なマザーボード。こいつに鱈セレ1.4Gを乗せて稼働中。


メイン部分アップ。いくつかの電解コンがあるが、さて.....?




マイガー!(((( ;゜Д゜)))









見つけてしまいました。
ノースブリッジチップのすぐ脇。1200μF・6.3Vのヤツが2個。同じメーカー...
いわゆる妊娠ってやつです。





見てしまったものは仕方がない。いざ千石電商地下1階奥の電解コン売り場!








が!




該当耐圧/容量/温度特性のコンデンサが軒並み売り切れ





みんな考えることは一緒か..


しかし諦めないぞ、ここは何でも揃う秋葉原。きっとどこかにあるはず!


と小一時間ほど秋葉原のパーツ屋を歩き回り、また、うっかり入ってしまったツクモ電気でまたもや弟に遭遇しつつ探し回った結果、ラジオセンター内の某コンデンサ専門店にて発見。

ここの店、コンデンサの専門店だけに2chの該当スレッドでも名前頻出なほどの有名店で、店の棚には、低ESR/105度タイプを集めた「マザーボード用」って特設コーナーができてる。こりゃ探す手間省けていいわ(笑)

店の主人と話をしたところ、最近はこのタイプの電解コンデンサを買いに来る人が本当に多くなったとのこと。そろそろ時限爆弾のスイッチが入る頃であることと、さらに気温が高くなってきたために問題が顕在化してきたんだろうね。


で、丁度同じ容量が無かったので、1500μFのものを購入。直径同じで高さがちょいと高めなので全然OK。ニチコンのHMシリーズ。



さてモノが手に入ったところでいざ交換。まずは今付いている電解コンをマザーボードからひっぺがす。
ベタGNDの上に乗っかってるので20W程度のセラミックヒーター搭載コテだと埒があかず、結局ボタン一発で90W相当まで熱量が上がるセラミックヒーター搭載コテを持ち出し、さらにコテ先が赤くなるほど熱をギンギンに貯めた状態で一刀入魂!


その甲斐あってか、景気よくスポスポと抜けてくれました。

外したコンデンサ。しっかりトンガリ頭です。カッターで切れ目入れたらプシューとか出てきそうで超コエー。


スルーホールを爪楊枝でキレイにして、買ってきたコンデンサを装着。

あり、なんか元々付いていたヤツよりも細いな。まあいっか。


やれやれ、まったく余計な手間かけさせやがって....




その後あちこちのサイトを見て回ったところ、問題の電解液を使ったコンデンサメーカーとして以下の名前が挙がっていました(真偽のほどは不明)


lelon JACKCON GSC G-RUXON YEC


今回交換したコンデンサは、しっかりGSC製でした。

運命には逆らえなかったか...


皆さんの家のマザーボード(に限らず)の電解コンデンサは、膨張したり液漏れしたりしてませんか?
これから夏本番、周辺温度が高くなると、それだけコンデンサへのダメージも大きくなりますよ。
もし万が一発見したら早めに交換するか、きれいサッパリとマザーボード毎交換しちゃいましょう。




リンク








追記:2008/05/06

はやいもので、あれから4年経ちました。
例のマザーは、実は現在もバリバリに稼働中です。
と言ってもメインマシンではなく、ご家庭内サーバとしてですが...



4年前のコンテンツを今頃になってほじくり返したのには訳があります。
例のコンデンサの、その後。


光り輝くニチコンのHM。


おや...?HMの様子が....


第2子妊娠です。

しかも交換した2本とも。


こりゃもうマザーの設計に問題があると思って良いんじゃないでしょうかね?



形有るものいつかは壊れる。
壊れた物は修理。


今回はニチコンHMなどという高級品ではなく、千石の地下1階で購入した東信工業のUTWRZ。低ESRタイプで、1個30円。
性能はお値段なりですが、まあマザーボード上の場所的にCPUの電源ラインとかのようなクリティカルな場所では無さそうだし、これでも良いかなと。

マルツ電波でルビコンのYXGでも買ってきた方が良かったかなあ?
最近は秋月まで「マザーボード用コンデンサ」と銘打って扱い始めたのね(ルビコンのMCZを扱ってるみたい)


さっくり交換完了。
前回の交換の際に低融点タイプのハンダを使ったせいか、ハンダ吸い取り線が思いのほか有効でした。



ところで、青いヒートシンクが乗ってるノースブリッジチップの脇にUTWRZが1個装着されていますが、ここ、基板にコンデンサを引っぺがしたっぽい作業痕があったので、「やっべ付け忘れ?4年間も?」と思って今回慌てて装着したって訳です。


が、4年前の作業中の写真やGoogleイメージ検索で出てきたマザーボードの写真を見るに付け、どうもここは元から空きパターンで、作業痕はどうも4年前の自分がハンダ吸い取り具合の練習をした跡だったようです(笑)


余計なモン付けちゃったよ...
しかもCPU脇のヤバそうな所に.../(^o^)\ナンテコッタイ





なお、コンデンサはれっきとした消耗品です。
今回使用した東信工業のUTWRZは、データシートによると寿命特性は3000時間保証、交換したニチコンHMは2000時間保証らしいです。


これを24で割って日数に換算すると、3000時間で125日。2000時間だと、なんと83日しかありません。


これは105度の環境下での値、しかも性能保証値ですので、実際にはこんな短時間で潰れることは無いでしょう。
一説には温度が10度下がると寿命が2倍になると言われています(アルミ電解コンデンサの寿命加速度係数:10℃2倍則)ので、仮に周辺温度55度で使っていた場合は、105度2000時間の場合だと64000時間となり、これは約7年に相当します。

さらに10度低く45度環境の場合は更に倍の14年ですからね。
同じマザーボードを14年も使うことは無いでしょうから、普通はコンデンサの寿命について意識することは無いはずなのですが...
なんで同じ所を2回も交換する羽目になるのかな?








追記:2008/05/08

ググってたらこんなもん見つけてしまいました。
ちょっと長いですが抜粋して引用します。
ソースはこちら


デル1社では済まない--PCメーカーを揺るがす不良コンデンサ
Michael Singer(CNET News.com)2005/11/28 12:10


 Dellは、同社の「Optiplex」ワークステーションの一部に、問題のあるキャパシタを搭載するマザーボードが見つかったことから、その交換費用として、3億700万ドルを計上したと先ごろ発表した。このシステムの交換作業に携わった複数の修理業者によると、問題のマザーボードは、2003年4月から2004年3月にかけて製造されたものだったという。


彼らのとっての唯一の慰めは、この問題への対応を迫られた大手PCメーカーが同社だけではないことだ。企業各社や請負業者、複数のオンライン掲示板によると、実際にHewlett-Packard(HP)やApple Computer、さらにはIntel製マザーボードを採用する他のPCメーカーでも、同様の問題に直面したことがあるという。


 Dellは、同社と契約している部品供給業者の名前を明らかにしていない。同社によると、不良キャパシタが含まれるワークステーションで断続的なシステム停止の問題が生じたものの、それでデータが失われたことはないという。また、AppleおよびIntelの関係者も、自社のシステムに搭載されるパーツについてのコメントを差し控えた。


 これに対して、HPだけは自社の採用した不良キャパシタのメーカー名を明らかにしている。同社によると、それを製造したのは京都にあるニチコンというメーカーだという。


 不良キャパシタ(「バッドキャップ」と呼ばれることもある)による問題は、今回が初めてのことではない。3年前には、全く異なる状況ながら、業界全体に影響を与える問題があったことをPassive Component誌が明らかにした。同誌は、複数の台湾メーカーが製造したキャパシタに問題があることを暴露していた。


 今回問題になったのは、色が黒と金の2色で、長さ約2.5センチの低ESR(等価直列抵抗)アルミニウム電解シリンダというキャパシタで、側面にHN(M)およびHM(M)のマークがあり、上部には「X」の文字が刻印されている。このキャパシタは一部のマザーボードやビデオカード、さらにPC、モニタ、ビデオデッキ、テレビなどの電源にも採用されている。


 複数の掲示板への書き込みによると、これらのキャパシタには液電解が過剰注入されていることから問題が生じたという。この液電解とは、過電流からプロセッサを保護したり、5ボルトから約1.5ボルトへと電圧を変換したり、あるいは電流のサージへの対応を助けるものだという。PCメーカー各社はまだ、これが問題の原因になったかどうかを認めていない。







2003年4月から2004年3月にかけて製造されたもの
京都にあるニチコンというメーカー
側面にHN(M)およびHM(M)のマークがあり




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